いそぎんちゃく と かくれくまのみ

 

朝にまどろむ海水の、蕩ける暖かさが背びれを撫でるころ。

 

 

「いそぎんちゃく と かくれくまのみ」

 

 

 

 

もうすぐ起きなくちゃ、って体の中から声がする。

朝の光は骨の色。

水面が形を躍らせて、光をゆっくり纏ってゆく。

「おはよう」

「おはよ」

僕を包んでいた、鮮やかな腕が一つ一つ解けてゆく。

その透き通る体越しに見る琥珀色の世界が、愛おしくて、大好き。

って、口には決して出さないけれど。

 

「今日はあったかいねぇ」

「だから、こんなに寝てたのかぃ」

骨や小さな生き物の砕けた砂がゆらりと鳴き声をたてる。

太陽と、僕らの業は本能。

影と灯りを携えたとても大きな命の輪。

僕らは、一緒に生きてゆく。

「ねぇ、今日はずっと寝てていい？」

 

朝にまどろむ海水の、蕩ける暖かさが背びれを撫でるころ。

僕は、彼の腕の中で琥珀色の夢を見る。

 

 

 

 

 

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